
- 医療・看護サービスは基本的に労働集約型であるため、〝ヒト〟が経営の要となります!
- 医療法人の運営には、医師や看護スタッフの定数・配置基準など、法律上の様々な制約があります!
- 国民皆保険制度のもと、医療法人は民間企業のように収益力を飛躍的に高めることはできません!
- 少子高齢化が進展する中、今後ますます職員の獲得競争は熾烈になってきます!
民間病院が生き残りをかけ、これからも事業運営に必要な安定収益を継続的に確保していくためには、
〝職員の採用力強化と安定的な雇用〟〝組織の活性化・チームワークの強化〟〝適正な人件費管理と職員の納得感が高まる処遇システム〟の3つがKFSとなり、具体的には以下(1)~(9)の要件が必要不可欠となるでしょう。もちろん、そういった要件が単に備わっているというだけではなく、その中身も重要となります。
すなわち、病院経営の成否は人事制度の中身や運用の良し悪しで決まるといっても過言ではありません。
当研究所では、病院からのご要望をもとに改善すべき要件をテーマに据えてコンサルティングを行ってまいります。
- 職員の確保 [※ 数と質の両面]
- 職員が安心して仕事に打ち込める職場環境の整備
- 職員一人ひとりにヤル気・働きがい・達成感をもってもらい、適正な定着率をキープ
- 前記の(2) ~(3)を実現する上で有能なマネジメント職の育成・配置や風通しの良い組織風土の実現
- 人件費政策に基づいた総額人件費の効果的な配分システム
- 前記(1)~(5)を機能させるための人事諸制度(人事フレームワーク、等級昇格・役職任免の仕組み、人事評価システム、
給与・賞与の個別決定システム、定期的な配置転換 etc)の整備 - 個別職員間でのトラブルやハラスメント発生時の迅速な措置と事後対応
- 病院運営に関して上下間や職種間の垣根を越えて本来の議論ができる会議体制の構築
- これら全ての人事・組織にまつわる院内施策を取り仕切ることができるプロフェッショナル人材の育成・確保

しかしながら、これまでの民間病院におけるコンサルティングや人事統括責任者としての実体験を通して感じるのは、これらの要件がうまく機能している施設は非常に少ないという点です。また、法人の経営幹部層や管理職クラスの職員についても、経営的視点の欠如や人事目線の弱さを感じることが多々あります。
ところで、事務局長や事務長といったポストを担う事務方統括責任者の役割遂行状況を見てみると、医事・総務・庶務・経理・営繕や勤怠管理・給与支給などの所管領域については概ね期待される統括・管理責任を果たしているものの、経営上きわめて重要となる〝人やマネジメントの問題対応〟〝人事の施策・制度面における見直し〟などに関しては期待レベルに達していないケースが多いといえます。例えば、人事・組織運営面について事務長自ら主体的に理事長・院長へ的確な意見具申を行っているでしょうか?
理事長や院長ポストに就いている方はもともと医師であり、人事・組織運営のプロフェッショナルではありません。確かに病院経営を担う立場ではあるものの、人事や組織管理を苦手とされている方も多数いらっしゃいます。
そのため、理事長や院長が都度細かな指摘や指示をしなくとも、事務方トップの職員が主体的に人事・組織面での意見具申を経営上層部に対して行ってくことが求められるのです。それができなければ、組織活力や職員の士気が低下し、病院の評判も下がっていくことになります。
もう一つ、病院経営者の多くが勘違いされていることがあります。
それは、〝医事・総務・人事などを同じ事務部門として同列・一括りで捉えている〟という点です。
医事、総務・庶務、経理、営繕や勤怠管理・給与計算などの業務機能は、その内容からある程度定型化やシステム化をはかって業務推進することが可能ですので、これらを担当する職員には特段高度な分析・判断力や企画提案力が求められているわけではありません。そのため、仮に欠員が生じた場合の代替要員確保はそれほど難しくないといえます。→ 実際、募集すればすぐに多数の応募があります!
一方、〝人事〟機能については、病院全体に及ぼすインパクトが極めて大きく、先ほどの業務機能の比ではありません。当然ながら、人事機能を管理統括する人材にはより深いレベルでの洞察力や対人関係能力・ヒトを見る目が求められ、医療法人では理事相当の人格識見や人間力を有するプロ人材でないと本来あるべき職責を十分果たすことはできないでしょう。もちろん、人事に関わる法律知識や業務スキルにも精通していないといけません。
[注] 大変失礼ながら、一般的な病院事務長クラスでは、本来あるべきレベルでの人事機能は果たせていないものと推察しています。

〝医師や看護師も含めた人材採用〟〝仕事に対する職員の取り組み姿勢のチェックと指導〟〝マネジメントやコミュニケーション・職種間連携〟などがうまく行われているか否かは病院経営に直結してきますし、〝病院収益に対する労働分配率の適正判断、限られた人件費をいかに職種群や職員個別に配分していくのかといった賃金政策の視点〟なども重要になってきます。
さらに、病院勤務の職員は一般企業ほど現勤務先への帰属意識が高くないため、人事や組織マネジメントの巧拙が定着率を大きく左右します。
これらを定期的に分析・レビューして、問題と判断すれば迅速に解決策を検討し、経営幹部会議へ提言していくこと、これが本来の人事統括責任者の役割なのですが、なかなかそういったレベルの人材は少ないといえます。
ところでもう一つ、ガバナンスの視点から一例をあげますと、病院の中では比較的多数の職員を統括する看護部長がいらっしゃいますが、看護部配属の職員採用をはじめ、人事評価や師長・主任クラスへの教育指導、病棟マネジメントの業務運営チェックなども含めて看護部長一人に職務権限を大きく付与しすぎていることによる弊害も散見されます。
いわば特定の幹部スタッフに多大な裁量権を委ね過ぎることによって当該組織の実態や良し悪しが経営上層部や他部署からは客観的にチェックできない、ブラックボックス化してしまっている弊害です。仮に、その看護部長のマネジメントのやり方や判断基準の仕方に問題があった場合、結果的に看護部全体がうまく機能しなくなりますし、看護部職員の離職増大やそれに伴って採用コストも含めた人件費増などを招くリスクも出てきます。
そのためには、職務権限の範囲を再考し、例えば人事統括責任者が看護部長に遠慮することなく、自らの職権として内部監査的な形で、看護部職員との個別面談やモラールサーベイなどを実施できる院内体制なども望まれるのではないでしょうか?
このように、人事や組織運営面の領域は広範囲に及び、問題・課題を分析・抽出・検証し、適正な方向性へ軌道修正していくための取り組みが重要となるため、従来の慣行や仕組みにこだわることなく、柔軟な思考で対処していかなければなりません。
経営的視点で人事機能を高度なレベルで統括管理していくためには、経営者レベルの見識・素養や様々な能力・スキルを持ち合わせた人材の確保、もしくは外部コンサルタントの指導・支援が必要と考えています。
当研究所の代表コンサルタントは、長年にわたって民間病院の人事コンサルティングを行ってきており、また12年間にわたり個別病院において理事長・院長を補佐する経営ブレーン並びに人事統括責任者としての職務執行にも携わり、いわば病院の人事・組織に精通しているプロフェッショナルです。
当然ながら、病院という組織の特性や現場職員のモノの考え方なども熟知していますし、きれい事や理想論を掲げただけではうまくいかないことも承知しています。
当研究所は、そういった点も踏まえながら、経営者や経営幹部スタッフの方々と審議を重ね、的確な落としどころを見定めた上で問題解決に向けて具体的な方策を検討・設計してまいります。
職員の採用と定着化、組織運営体制、トータル人件費管理のあり方や個別職員の処遇システム、院内部署のマネジメント等、人事や組織運営面に関して少しでも不安を感じていらっしゃるのであれば、まずはお気軽にご相談ください。
私どものコンサルティングは、人と組織を活性化することによって病院収益力の安定化を目指してまいります。